ぼくがここにいるとき ほかのどんなものも ぼくにかさなって ここにいることはできない
まど・みちお
童謡「ぞうさん」でおなじみ、まど・みちおさんの詩「ぼくが ここに」の冒頭である。
「ぼく」がここに立っている。
その同じ場所に誰かが重なって立つことはできない。
当たり前のことだ。
「ぼく」がそうであるように、「あなた」の立っている場所も、誰かがあなたと重なって立つことはできない。
これが唯一無二であるということ。
当たり前のことほど、忘れがちになる。
だけど、まどさんは忘れなかった。
「ぼくが ここにいる」という詩は、人間だけのことを言っているのではない。この地球上に存在するあらゆる生きものにも言えることだと、まどさんは言う。
「僕がここにいると、ほかのものは何もここにいることができない。つまり、それほど大事に僕が守られているということです。これは自然の法則。ところが人間は、ほかの存在を脅かすことばかりやっています」
一人ひとりが、すべての生きものが、この地球に守られている。大きな愛で包まれている。そのことを忘れてはならない。
(160829 第230回)