女あり 二人ゆく 若きはうるわし 老いたるは なおうるわし
ホイットマン
アメリカの詩人、ホイットマンの詩だ。著書『草の葉』は有名である。
若い女性はそれだけで麗しい。
しかし、老いてゆく女性は、なお美しい。
百花繚乱の春は華やぎがある。穏やかな陽気も相まって、身も心もエネルギーが満ちてくる。
一方、秋の美しさはどうだろう。
赤や黄色に色づいた葉は、雅な装いで品がある。
老いの美しさは「こころの美」。
どのように年を重ねたのかが表れるのだ。
龍源寺住職であった松原泰道老師は、この詩を引用して「老いの美」を「丹精の美」としている。
苦労があっても打ちひしがれず、卑屈になったり自暴自棄にならないように自分を大切に丹精しながら年を重ねる。
それが「老いたるは、なお麗し」なのだと。
この詩は女性をうたってはいるが、女性に限ったことではない。男性も同じ。
熟成されたワインが芳醇な香りを醸すように、ていねいに使い込まれた道具が味わい深くなるように、人も時間を味方につけて、丹精に年を重ねるほど輝きは増してゆくのだろう。
(160901 第231回)