商いの敵にまさるダシは無し
某新聞の一面にある編集記事と言えば、なんとなくわかる人もいるのではないだろうか。政党を食堂に例えてのライバル争いの内容だった。食堂だけに「うまい!」と思わず舌鼓を打った。
日本料理の味の基礎は「出汁」だと言われている。
出汁の旨さが料理を左右するといってもいい。
鰹節、昆布、いりこ、しいたけ…どれを使っても誰が作っても出汁はできる。
しかし、本当に美味しい出汁は創意工夫がなければ作れない。
独走よりもライバル走者がいたほうがタイムも伸びるように、競争相手がいてこそ予想以上の力が発揮できる。
日本を代表する水泳選手の荻野公介選手と瀬戸大也選手は、幼い頃からライバル同士だったというが、もし彼らがそれぞれ別々に水泳を続けていたら、今のようになっていただろうか。
美味しい出汁は、調味料を必要としない。
出汁の質を高めるのは、使う材料と技術。
そこにライバル店が現れれば必死になって創意工夫も生まれるだろう。
「あの店はうまい!」と評判になれば、さらに競合相手も増えるはずだ。
相手のダシにされないよう、切磋琢磨できる良きライバルと出会い、つねに腕を磨いていく必要がある。
(160922 第238回)