動物は走り方を変えることはできないし、鳥も飛び方を変えることはできない。しかし、人は生き方を変えることができる
日野原重明
104歳で今なお現役のドクター、聖路加国際病院名誉院長、日野原重明氏の言葉である。
いつも笑顔でお元気な日野原氏の周りには、老若男女問わず多くの人がその生き方を学びたいと話を聞きに来るそうだ。
日野原氏の長寿の秘訣は、この言葉に集約されているのかもしれない。
「変化に対応できる者が生き残ることができる」とダーウィンが言ったかどうかはともかく、自然界はつねに変化し続けており、生きものたちは与えられた環境で生き延びようと進化しているのは確かだろう。
だとすれば、人間も変化していかなければ生き残ることはできない。
自然の中で淘汰されていった生きものたちは、その種の弱さゆえか、それともガンコな性質だったのか、いずれにしても変化に対応できずに消えていかざるを得なかった。
走り方を変えられない動物も、飛び方を変えられない鳥たちも、それでも必死で生き延びようとしている。
本来、現れるはずもない動物たちが人の住む街中に姿を見せるのは、その証ではないか。
日野原氏の言うように、人は住む場所はもちろん、思考も言葉すらも変えられる生きものだ。
ガンコでかたい心はポキッと折れやすい。
やわらかい心と素直な気持ちさえあれば、いつでもどこでも変わっていける。
(160928 第240回)