心を入れ替えるとは、心の変化により、いままで眠っていた遺伝子が活性化することである
村上和雄
本欄でたびたび登場している分子生物学者の村上和雄氏の言葉である。
人間を深く掘り下げていくと、自然科学の領域に踏み込こんだ遺伝子レベルまで行かざるをえない。
だからだろうか、村上氏の言葉はリアリティがあって確信がもてる。
「心の変化によって、眠っていた遺伝子が活性化する」とは、新しい遺伝子が目覚めることであり、それまで活発だった遺伝子が影を潜めることに他ならない。
子供の頃はおとなしくて目立たなかった子が、大人になって有名になったということはよくあるし、その逆もしかりである。
村上氏いわく、
「ある環境に巡り合うと、それまで眠っていた遺伝子が『待ってました』と活発にはたらき出すことがあり、そういうとき人は変わることができる」そうで、
「新しいものにふれることは、OFFになっていたよい遺伝子を目覚めさせる絶好の機会」なのだそうだ。
なるほど、「中学生デビュー」や「高校生デビュー」というものがあるのもうなずける。
新しく生まれ変わろうとするのであれば、一度、死なねばならない。
といっても、ほんとうに死ぬわけではない。
それまでの遺伝子をOFFにするのだ。
「変わりたい」
そう切に願った瞬間、ピピッとアラームが鳴り響き、眠っていた遺伝子が目を覚ます。
(170127 第280回)