したくない仕事しか来ないんです。でも、運は、そこにしかない
萩本欽一
「欽ちゃん」の愛称で知られる萩本欽一の言葉。1970年代、80年代に一世を風靡した日本を代表するコメディアンも、最初は演出家から「君は才能がないからやめたほうがいい」とまで言われたという。本人もまた、才能がないことを自覚していたそうだ。
好きではじめた仕事でも、好きな仕事ばかりをできるわけではない。
むしろ、最初はきつくて辛い仕事やしたくない仕事をすることのほうが多いだろう。
それは、一種の意志力試しでもあるのだから。
ほんとうにやり続ける覚悟があるのか。
最初に抱いた思いは本物なのか。
見えない力である「運」に試されているのだ。
人が成長するときに試練はつきものだし、物事や状況に変化が起ころうとしているときも試練は必ず通せんぼする。
どうやら、試練は「運」という城の門番らしい。
桜のつぼみも少しずつ開き始めた今日のこの日。
新しいスーツに身を包んだ新社会人たちの新しい門出には、少しばかり冷たい天気かもしれない。
「花冷え」である。
厳しい冬を乗り越えた桜の花でさえ、ひといきに咲かせてはくれない。
満開の花を咲かせる時の運の門番は手厳しい。
とはいえ、桜の花が満開になるのも時間の問題ということも知っている。
新しい門出を迎える人に、桜の花はよく似合う。
(170401 第301回)