成功というのは、香水みたいで心地良いけど、本質ではないのよ
ファニー・アルダン
フランスの映画監督、ヌーベルヴァーグのフランソワ・トリュフォー。彼の作品『隣の女』でヒロイン役に抜擢され、一躍スターとなったファニー・アルダンの言葉だ。
フランス女性らしいエレガントで自由な発想に、心の目も開かれる。
日本人特有の真面目さは、ときに自分自身を追い込んでしまうことがある。
頑張るのは悪くない。
けれど、息がつまるほど頑張るのは間違っている。
呼吸が出来なくなれば死んでしまうのだから。
ファニー・アルダンが言うように、成功は香水と同じようなもの。
まとったときは、その存在を確かなものにする。
人は振り向き、引き寄せられる者もいるだろう。
しかし、本当に大切なのはその後。
残り香である。
自分の体臭と、まとった香りが一体になって香る匂い。
それが心地良い香りであれば、選んだ香水は自分にあっているということではないか。
甘い香り、スパイシーな香り、爽やかな香り、ヘビーな香り……。
そしてまた、香りは時間がたつほどに薄れていく。
同じ香りでも、人によってはまったく違う香りになることもある。
成功も同じ。
何を手に入れて成功というのかは人それぞれ。
成功と香水は、時間の経過によって表情を変える。
結局、最後はどちらも本人の質が問われているのだ。
(170417 第306回)