この世でもっともすばらしいことは、自分は自分のものだと知ることである
「エセー」と言えばモンテーニュ。モンテーニュと言えば「エセー」。
38歳で隠棲生活に入ったモンテーニュは、人間観察、とりわけ自分自身の内面を考察しながらこの本を書いた。今も昔も多くの人を虜にしているこの作品は、普遍的なテーマゆえ、いつでも、どの場面を取りだしても通用するものばかり。第一巻39章の「孤独について」の中の一節がこれだ。
「自分は自分のものである」
この言葉ほど現代人に響く言葉はないのではないか。
「何を言ってる、そんなのあたりまえじゃないか」と思うかもしれない。
でも、そう言い切って人生を送っている人はどれだけいるだろう。
情報に絡め取られ、判断基準がずれてしまっていてもそのことに気づかず、それが自分だと思い込んでいる。
そういう人は、きっとたくさんいるはずだ。
人間は弱い生き物だし、自分を守る手段としての言い訳をしてしまうことはある。だけど、言い訳などいくらでも探そうと思えば探せる。
「人は自分が置かれている立場をすぐ状況のせいにするけれど、私は状況を信じない。この世で成功するのは、立ち上がって自分の望む状況を探しに行く人、見つからなかったら作り出す人だ」
とジョージ・バーナード・ショーも言っている。
人生は一瞬一瞬の選択の連続。
誰の人生でもない。
自分の人生、選んだものを喜びにかえられるのは自分しかいない。
もっと言えば、ほんとうの喜びにかえられるものを選択しよう。
(170426 第309回)