神にも人にも歓迎されるのは、自立している人である
またまたエマソンの言葉を紹介する。ちょっと前にエマソンを登場させたばかりだから気が引けたのだが、良い言葉ばかりだし、頭の中の引き出しの手前の方にあったものだから、まだ新鮮かと思い取り上げた。
「自立」という言葉が声高らかに叫ばれるようになって久しい。
経済的な自立、生活面での自立、そして精神的な自立と、自立にもいろいろあるが、どれひとつとして切り離すことはできない。
とくに精神的な自立は、それ以外の自立に大きく影響することは確かだろう。
エマソンの言う「神にも人にも歓迎される自立」というのも、精神の安定を意味する。
「幸運をつかむ秘訣は、自分が喜びを感じていることである」といい、「不満をもつのは、自己信頼が足りず意志が弱いということだ」と喝破する。
つまり、自分自身が本当の喜びを感じていれば、不満など生まれるはずがないと言っているのだ。
そして、自分を喜ばすことは自分にしかできないのだと。
「他に依存するものは動揺す」とは、お釈迦さまの教えである。
仏教の経典『経集』にその言葉はあるという。
「この世で自らを島とし自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして他のものをよりどころとせずにあれ」と。
この場合の「法」は人の定めし法ではなく、天の定めし自然の法則である。
エマソンも釈迦も同じことを言っている。
この世を統べる神や仏こそ自立した存在であり、それを見倣えと。
(170514 第315回)