およそイノベーションとは、異質なヒト、情報、偶然を取り込むところに始まる
1984年に刊行された『失敗の本質』より抜粋した。日本軍の組織的敗因を分析した本書は発刊以来、版を重ね大ベストセラー本となっている。長所は短所の裏返しだということを、これでもかと知らしめているが、あまりにも的を得すぎて胸が痛む。
情に厚いという日本人の長所が翻ったとき、客観的な判断が下せないという短所になる。先の大戦での敗因の多くはこれだった。
もうすぐ時代が変わる。
新しい時代を目前にして、われわれは何を考え、何をなすべきなのか。
日本のみならず、世界に激震が走る中で、これまでと同じことを繰り返していては生き残れない。
人間社会も自然界と同じ、生存競争なのだから。
この世はすべて、陰と陽の関係で成り立っているのは周知の事実。
表があれば裏があり、成功の数だけ失敗がある。
これまでの光は影に、影は光になるだろう。
「失敗の本質」は語る。
「平時的状況のもとでは有効かつ順調に機能しえたとしても、危機が生じたときは、大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を再び表面化させないという保証はない」と。
従来どおりで事がすむのは、平和で安泰なときだけ。
危機に直面したり、激震の最中ではそれも両刃の剣である。
新しい時代の幕開けには、きっと新しい風が吹く。
そのときが革命のとき。
歴史に学ぶならば、これまでの慣習に風穴を明け、革命を興してきたのは、いつの時代も異端児たちであった。
変わり者や奇天烈な事象、現象を笑うなかれ。
新しい風を感じたいのであれば。
(180107 第390回)