世の中に「?」と「!」と両方あれば、他にもうなにもいらん
「ぞ〜うさん、ぞ〜うさん、お〜はながながいのね…」でおなじみ、まど・みちお氏の名言である。童謡詩人のまどさんは、簡単な言葉で真理を語る天才だった。子供の目線は神のごとく、鋭い指摘をこれでもかと大人たちへ繰り出す。まどさんは、つたない言葉しか話せない子供たちや、人間の言葉を話せない動植物たちの代弁者だったのだろう。彼らの言葉を大人たちにもわかるようにと手助けしていたのに違いない。
「?」と「!」。
これほどわかりやすい表現はない。
これはなに?
なんなんだこれは?!
そうだったのか!
「?」と「!」がつくだけで、心の動きが手に取るようにわかる。
「?」と「!」は心の言葉。
感じて動いた心の声。
「?」と「!」がぎゅうぎゅうに詰まっている子供の世界はやがて、「、」と「。」に支配されていく。
「こうだから、こうなのだ。」と言えるのは成長のあかし。
それは決して悪いことではない。
悪いことではないけれど、「、」と「。」が大いばりで心にのさばってしまうのは、いかがなものか。
大人は多分にその傾向がある。
子供のころは、毎日が「?」と「!」の連続だった。
「?」と「!」に出会うとワクワクしたし、「?」と「!」に出会うと楽しかった。
「?」と「!」は童心であり、素直さの証なのだろう。
「?」と「!」を忘れた心は傲慢になり、謙虚さを失う。
「?」と「!」は、ものごとのはじまりの合図。
「?」と「!」を探そう。
「?」と「!」は街中にも自然の中にも、本の中や自分の中にだって、ぎゅうぎゅうに詰まっているのだから。
どうです? まどさん。「?」と「!」の解釈は。
え? あんたも「、」と「。」に支配されてるねって?
はい、そのようです・・・。
(180209 第401回)