この世はみんなのメモだらけみたいだなあ
これで、4回目になる。いがらしみきおによる4コマ漫画『ぼのぼの』より、再び抜粋。頭の中が要領オーバーになると、本棚の隅にあるこの本に手が伸びる。パラパラとめくって、くすりと笑う。ほのぼのしながら、ふと目が立ち止まった。
お気に入りの石をなくしたぼのぼのは、ポツリとつぶやく。
「あったものは、小さくはなるけどなくなったりしない。ただどこにあるのか、ボクたちにわからないだけじゃないかなあ」
そして、森の土を手ですくって一言。
「この土の中にもなにかあるんだろうな」
深く納得したぼのぼのは思う。
「この世はみんなのメモだらけみたいだなぁ・・・」
ぼのぼのは、ボーッとしているのに言うことが深い。
ボーッとしていると、見えないものも見えてくるのだろうか。
この世はみんなのメモだらけ。
建築や美術、道具類や書籍物、文化芸能、企業、経済はもちろんのこと、一木一草、石や土にいたるまで、この世界は生き物たちの働きの集積でできている。あるいは記憶の堆積とも言えるだろう。
そのことを思うと、われわれの誰一人として単独で生きているものはなく、全体の一部として何かのおかげがあって生きているのだということがわかる。
かつて生きた人や物たちの働きがなければ今はない。
世界中をつぶさに見れば、生きるヒントが溢れていることに気づく。
もちろん、この世は生々流転だということも。
思い悩むことがあっても大丈夫。
その答えはきっと見つかる。
ほら、あそこにもここにも、誰かや何かが残してくれたメモがあるじゃないか。
(180630 第444回)