人に襲ってくるもののなかでも、最も思いがけないものは老いだ
ロシアの革命家、第4インターナショナルの創始者であるレフ・トロツキーの言葉だ。マルクス主義思想家の一人であり、レーニンに最も近い同士であったトロツキー。レーニン亡き後、後継者になる可能性もあったようだが政党内の争いでスターリンに敗北した。
ある日突然、鏡を見てハッとする。
あきらかに以前とは違う、老いをまとった自分がいることに驚くのだ。
しかしそれも、日常の一コマにすぎず、見慣れた顔ゆえ想定内のこととして受け止める。
ところが体の衰えはどうだ。
昨日まで何ともなかった足腰が、何かの拍子で悲鳴をあげる。
怪我をするようなことをしていないにもかかわらず、である。
どうして? と首をかしげたくもなるが、「老い」という招かれざる客は、ひたひたと、しかし確実に身を潜めながらやってきているのを実感する。
すべての出会いは必然であるし、森信三の言葉をかりれば、出会うものには一瞬遅からず一瞬早からず出会うのだから、「老い」との出会いもその人にとっての一番いいタイミングなのだろう。
とはいえ、これほど思いがけず、ばったり出会ってしまって嫌な相手はいない。
生きていれば必ず出会う「老い」。
その出会いをいい出会いにするために、今の時間をいい時間にする。
いい言葉やいい心持ちが、いい出会いを引き寄せるのだから。
(180801 第455回)