世の中には「すぐにわかるもの」と、「すぐにはわからないもの」の2種類がある。
今年、逝去した樹木希林さんの最後の映画「日日是好日」から抜粋。正確には、ベストセラーとなった原作に登場する言葉だ。著者である森下典子さんが、25年以上も習い続けている「お茶」から得た大切なことをまとめたものだ。お茶というのは、本当に奥深いものなのだとあらためて思う。
すぐにわかるもの。
今日の天気。
時事ニュース。
電車の広告。
流行りの店。
流行りの音楽。
流行りの洋服。
流行りの・・・。
すぐにはわからないもの。
時の流れ。
花の咲く頃。
得たもの。
失ったもの。
親の、子の、人の気持ち。
生と死。
どちらもあげればきりがない。
世の中には「すぐにわかるもの」と「すぐにはわからないもの」の2種類がある。
けれど、本当に大切なもののありかは、どちらかすぐにわかるだろう。
「すぐわかるもの」と「すぐにはわからないもの」。
ー すぐにわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。
けれど、すぐにわからないものは、何度か行ったり来たりするうちに、後になって少しずつじわりじわりとわかりだし、「別もの」に変わっていく。
本当に大切なものは目に見えず、すぐにはわからない。
いろんなことがめまぐるしく過ぎてゆくこんな時代だからこそ、じっくり、じっくり、心静かに「すぐにはわからないもの」を感じてみよう。
(181126 第492回)