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分野に問わず、ひらめきは修練とたゆまぬ努力によってもたらされる

マイケル・ディルダ

「ワシントン・ポスト」紙で長年書評欄を担当し、ピューリッツァー賞を受賞した練達の書評家、マイケル・ディルダの言葉を紹介。著書『本から引き出された本』の中の第3章「仕事と余暇」の中の一文である。
 
 ひらめきとは、ひらめく光(閃光)。
 雷光である。
 
 雷は、雲の中にたまった静電気。
 上空で冷やされた雲が氷の粒に変化して、こすれ合い、
 こすれ合って発生した静電気が、雲の中に集まり膨れあがったのが雷だ。
 
 最初から要因となるものがないところに雷は発生しない。
 水が雲に、雲が氷に、氷が電気になった。
 太陽や風や摩擦などの力を借りて。
 
 だとすると、ひらめきとは、集中力の賜物だろう。
 何かに夢中になって取り組んだ結果、自分の中に力がたまり閃光が走る。
 
 雷のエネルギーは約1億ボルト。
 家庭用の電気の強さ(100ボルト)の100万倍。
 
 これを人に当てはめれば、
 ふだんの力を1とすると、集中した力は100になる。
 
 マイケルの著書によると、偉大なるジャズ・サックス奏者、チャーリー・パーカーは、あるインタビュアーに「素晴らしい演奏ですね」と言われ、こう答えたそうだ。
 
「素晴らしいというのがどういうことかわかりませんが、何年間か1日に15時間、練習していました」
 
 ミケランジェロも同じようなことを言っている。
「技術の習得にどれだけの労力を費やしたかがわかれば、自分の彫刻にこれほど驚く人はいなくなるだろう」と。
 
 ひらめきは、何もないところに生まれない。
 一生懸命なにかに取り組み、集まった力が光を放つ。
 

 だとしたら、

 日々なにを積み重ねるかで、人生の輝きは変わってゆくのだろう。

 

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(191105 第589回)

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