薬を10錠飲むよりも、心から笑ったほうがずっと効果があるはず
第二次世界大戦、ナチ占領下の異常な環境の中で隠れ家に暮らしながら日記を綴りつづけたユダヤ系ドイツ人の少女、アンネ・フランク。死後、奇跡的に生き延びた父のオットー・フランクによってまとめられたのが『アンネの日記』である。過酷な状況にあってなお、生きる希望を失わなかった15歳の少女から教えられることは計り知れない。人はいかなるときも、生の歓びを謳わねばならないと教えられた。少女の言葉に耳を傾けてほしい。
流行病に人は慌てふためき、心配を煽る情報でさらに騒がしくなる。
眉間にしわを寄せ、笑顔も消える。
病はそんなところに忍び寄る。
一方、
「笑う門には福来る」ということわざもあるように、笑いは福を呼び寄せる。
神々の笑い声で天岩戸からでてきた天照大神のように。
「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」
と言ったのは、心理学者のウィリアム・ジェームス。
笑いが人体に好影響を及ぼすことは脳科学的にも立証されている。
映画「モンスターズ・インク」でも、笑い声のエネルギーに注目している。
子供たちの悲鳴をエネルギー源としていたモンスターたちは、笑い声が発するエネルギーの多さに気づき、夜な夜な子供たちの部屋に忍び込んで笑わせるのだ。
怖いはずのモンスターがジョークを飛ばしたりおどけたりするのだから、子供たちの目はらんらんである。
昼間以上に元気にはしゃぎたてて疲れを知らない。
クラウンドクターのパッチ・アダムス。
彼のモットーも、ユーモアーで患者を元気にさせることだ。
さあ、どうだろう。
お金も時間もかけて薬を手に入れるのか。
それとも、面白いことを考えて笑い転げるのか。
どっちが楽しいだろう。
どっちがワクワクするだろう。
細胞が喜ぶのは、はたしてどちらだろうか。
アンネは最期の最期、亡くなる直前まで周りに希望を与え、笑顔を絶やさなかったという。
(200303 第621回)