どんなに時代が変わろうとも、本が人類の知的財産であることに変わりはありません。
少年の時分より、本を師と仰ぐ髙久 多樂がさまざまなジャンルから独断と偏見で選んだ300冊の本。
本選びの際の参考書として、活用してください。【テキスト/髙久 多樂】
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file.092『天才たちの日課』メイソン・カリー著 金原瑞人・石田文子訳 フィルム・アート社
小説家、詩人、作曲家、哲学者、研究者、映画監督などクリエイティブな活動で名を残した161人の生活習慣(日常の生活リズム)を紹介したもの。「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティ…
file.091『槍ヶ岳開山』新田次郎 文春文庫
新穂高から西穂高岳へ登るコースの途中に、播隆(ばんりゅう)上人の石像がある。目にしたとたん、『槍ヶ岳開山』を読んだときの感懐がよみがえった。日常のふとしたことで読書の記憶が意識の表…
file.090『貨幣進化論』岩村充 新潮選書
お金ってなんだろう?多くの人がそう思っているにちがいない。およそ、人が生まれて死ぬまでの間、ずっとお金に翻弄されている。時にはそれが原因で命を落とすこともある。だからこそ、お金の本…
file.089『月と六ペンス』サマセット・モーム 金原瑞人訳 新潮文庫
20年ほど前、なにを思ったのか、『月と六ペンス』の全文を書き写してみたくなった。とくだんの理由はない。とくに文章がいいと思ったわけではないし、それによってなにかを学ぼうと思ったわけ…
file.088『明治維新の意味』北岡伸一 新潮選書
明治維新関連の本は、事実を詳細に記したものから小説の類まで含めれば、どれほどの数になるだろう。私にとって、明治維新の決定版が2020年、刊行された。それが本書。著者の北岡伸一氏の歴…
file.087『山の音』川端康成 新潮文庫
ノルウェイ・ブック・クラブは、世界54カ国の著名な作家100人の投票によって選ばれた「世界文学100選」を発表している。現在、文学ファンの間では最も権威があるという。そのなかに日本…
file.086『千年、働いてきました』野村進 角川ONEテーマ21
国税庁の資料によると、会社が10年続く確率は約6%、20年続く確率は0.4%、30年続く確率は0.021%だという。自然の生態系は、あらゆる生物が生き残る確率の、絶妙なバランスの上…
file.085『知られざる傑作』オノレ・ド・バルザック 私市保彦他5人訳 水声社
バルザックは典型的な長編作家だが、短編にも強力な作品がある。その頂点に位置する作品が『知られざる傑作』だ。幸い、日本では岩波文庫版と水声社版の上製本の2種類が刊行されている。ただし…
file.084『美しい日本の私―その序説』川端康成 講談社現代新書
1968(昭和43)年、日本人初のノーベル文学賞を授与された川端康成の授賞記念講演は、そのまま日本文化論としても通用する格調高いものだった。講演の全文をまとめた本書には、エドワード…
file.083『鬼と人と』堺屋太一 PHP研究所
織田信長をテーマにした本や、なぜ明智光秀が信長を討ったかをテーマにした本をたくさん読んできたが、意外や意外、堺屋太一著の本書はそのジャンルの白眉といえる。なぜ「意外や意外」かといえ…