どんなに時代が変わろうとも、本が人類の知的財産であることに変わりはありません。
少年の時分より、本を師と仰ぐ髙久 多樂がさまざまなジャンルから独断と偏見で選んだ300冊の本。
本選びの際の参考書として、活用してください。【テキスト/髙久 多樂】
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file.122『映画術』アルフレッド・ヒッチコック+フランソワ・トリュフォー 晶文社
今でもときどき、この大判の本が書店の棚に平置きしてあるのを目にする。B5判ハードカバー、厚さ31mm、堂々たる風格だ。なぜ、この本がこんなにも長く愛読されているのかといえば、ヒッチ…
file.121『風と共に去りぬ』マーガレット・ミッチェル 新潮文庫
よくぞミッチェルは、スカーレット・オハラとレット・バトラーという類まれな人物を造形したものだと感心せざるをえない。スカーレットは、お嬢様育ちで美貌の持ち主。しかし気性が激しく、思慮…
file.120『明治神宮』今泉宜子 新潮選書
本書は、明治神宮造営の計画から完成までを詳細に綴ったものだ。明治神宮が創建されて、今年で102年になる。大都会の真ん中にこれだけ緻密で広大な人工林を造成したという事例は、ほかにもあ…
file.119『レ・ミゼラブル』ユゴー 辻昶訳 潮出版社
子供の頃から本好きだった私にとって、小説の王様と言えば、『レ・ミゼラブル』と『モンテ・クリスト伯』でキマリ。両作品は、年少者用に編集された『ああ無情』『巌窟王』から親しんでいる。世…
file.117『小説伊勢物語 業平』髙樹のぶ子 日本経済新聞出版
現在、男女の情愛を書かせたら右に出る者はいないと言われる髙樹のぶ子が、ついに究極の情愛に踏み込んだ。わが国の古典文学の名作のひとつに数えられる『伊勢物語』をベースに、在原業平を主人…
file.116『命といふもの 堀文子画文集』堀文子 小学館
2019年、100歳の天寿をまっとうした堀文子。大磯の山中にこもり、人との接触を極力断っていた。お手伝いさんはいたものの、死ぬまで孤高の存在を貫き通した。「生きている間は1ミリでも…
file.115『クレーヴの奥方』ラファイエット夫人 光文社古典新訳文庫
果たして人は恋愛によって死ぬことがあるのか。長らくフランス文化に親しんでいると、そういう疑問が湧き上がってくる。ジッドの『狭き門』をはじめ、愛が破綻し、その痛手のあまり命を落とす場…
file.114『ひらがな日本美術史』橋本治 新潮社
埴輪から東京オリンピックのポスターまで、日本美術の通史を全7巻にまとめたもの。書き手は橋本治だから、一筋縄ではいかない。第1巻の帯のコピーに「退屈な美術史よ、さようなら」とあるが、…
file.113『コインロッカー・ベイビーズ』村上龍 講談社
この作品を初めて読んだときの衝撃は、今も鮮明に残っている。当時、私は21歳。大人たちのやることなすことが気に食わず、かといって自分がなにをすればいいのかもわからず、わずかな所持金の…