It may be the cock that crows, but it is the hen that lays the eggs.
サッチャーという政治家は、行動のみならず発言も超一級であった。
「高々と鳴くのは雄鶏かもしれません。しかし、卵を産むのは雌鶏です」
いくら女性の社会進出が著しいといっても、どこの国でも政治家の大半は男性だ。彼らがこの言葉を聞いたら、どう思うだろう。「いろいろとりっぱなことは言うけれど、実のあることをやり遂げるのは女性よ」というのだから。
完全に肯定はできないが、おおむね間違ってはいない。
男は社会的な生き物だ。どうしても社会的に設定された組織のなかで、身分の上下や派閥を超えて、自分の信念を貫くのは難しいようだ。同じような服装で、同じような髪型で、同じような話し方で、同じような価値観で動き、必要以上に忖度する傾向が強い。女性にとって多くの場合、そのような社会的構図はあまり意味をなしていない。自民党内で台頭する男性議員たちと小池都知事を比較すればわかるだろう。そういえば、小池さんは「嫉妬という字は女偏ですが、これからは男偏にしていただきたい」と笑みを浮かべながら言っていたっけ。
さもありなん。女の嫉妬は怖いと言われているが、男の嫉妬はもっと怖いのだ。特に組織におけるそれは。嫉妬やら忖度やらがグチャグチャと縦横無尽に絡み合い、改革を困難にしている。かといって、女性だからいいというわけでもない。
さて、わが国にサッチャーのような有能な女性政治家は現れるのだろうか。
期待している。
(第65回 210815)
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