A slip of the foot you may soon recover, but a slip of the tongue you may never get over.
ベンジャミン・フランクリン
足を滑らせてもすぐに回復するが、口を滑らせると取り返しがつかないという意味。
同じような意味の禅語がある。一言既発駟馬難追(ひとこと発してしまったら、4頭立ての早い馬車でも追いつかない)。駟馬はいまで言えばフェラーリやポルシェのイメージだろうか。刀瘡易没悪語難消(刀の傷は治るが、言葉による傷はずっと癒えない)というのもある。要するに、安易に発してしまった言葉が墓穴を掘るから気をつけなさいということ。
翻ってこれまでの自分を振り返り、そういうことはなかっただろうか。すぐに思い出せるものでも2つか3つはある。以来、言葉を飲みことを覚えたが、果たしてそれがいいかどうかはわからない。
最近はコロナ禍によって、それぞれの価値観が浮き彫りになってしまう。コロナ感染、ワクチン接種、東京オリンピック開催などに関する考え方を聞き、「へぇ〜、この人はこういう考え方をするんだ」と驚いたことが何度もある。しかし、冷静に考えれば、同じ価値観の人などほとんどいなくて当たり前。それをSNSなどで「より多く」求めてしまうから葛藤が生じる。ベンジャミン・フランクリンはそこまで言っていないと思うが……。
妙な着地になってしまったが、お互い、「つい、うっかり」の言葉に注意しましょう。
(第71回 210912)
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