野見宿禰神社と投入堂
横綱白鵬関がついに引退した。
名実ともに大横綱だった。いろいろと物議を醸すこともあったが、それによって白鵬関の輝かしい業績がいささかも減じることはない。
意識の高さでも群を抜いていた。2014年、大鵬と並ぶ史上最多32回目の優勝を飾った時のインタビューで、彼はこう述べた。
「15年前に(体重)62キロだった小さい少年がここまで来るということは誰も想像しなかったと思います。この国の魂と、相撲の神様が認めてくれたからこの結果があると思います。そして明治初期に断髪事件が起きた時、大久保利通という武士が当時の明治天皇と長く続いたこの伝統文化を守ってくれたそうです。そのことについて、天皇陛下に感謝したいと思います」
日本人の関取でさえこのように真意を表現できる人はいないだろう。
その白鵬関が、相撲の神様に参拝するというテレビ番組を見たことがある。兵庫県たつの市にある野見宿禰神社(のみのすくねじんじゃ)。それ以来、一度行ってみたいと思っていた。
過日、念願が叶った。
鳥居をくぐり、長い参道を登っていく。
前日から降り続く小雨が敷石を濡らしていた。山の木々は水気を吸って、生き生きしている。最後の登り階段は白鵬関も息を切らしながら登っていたが、ちょっとした運動になる。
それから、車を駆って鳥取県の投入堂へ向かった。数年前に登ったことがある「日本一危険な国宝」と呼ばれているお堂である。
残念ながら悪天のため登ることは断念したが、平地からお堂が見えるスポットがあると知り、そこで写したのが右上の写真である。
昔の行者は、いったいどんな意図からあんな危険な崖にお堂を作ったのか。近頃、人間のやることなすこと不思議でならない。
鳥居をくぐる
野見宿禰神社の入口から参道へ
参道はずっと続く
野見宿禰の墓に至る長い階段
(211011 第1097回)
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