The golden rule is that there are no golden rules.
バーナード・ショー
本欄にたびたび登場するバーナード・ショーは、ものごとの真理を小気味よくまとめる天才である。
曰く、「黄金律はないということが、黄金律である」。
出版不況だというのに、電車に乗れば目につくのが新刊の広告。どれもこれも謳い文句は似たようなものだ。
「アマゾン○○部門、第1位」「○○万部突破」「〜するだけで驚くほど効果がある」「読むだけで一生、心が折れない」「マーケティングの天才と呼ばれた人が明かす、知名度の高め方」等など。
うさん臭い! と言えば、売れる本を書けない人の僻みだと思われるかもしれないが、よくもまあ、ここまで読者を愚弄する内容の本が続くものだと感心する。
いわゆるハウツー本である。
バーナード・ショーに言われせれば、「すぐに〜できる」という考えも黄金率の部類になるだろう。しかし、そういうものはないと断言している。
こんなことはバーナード・ショー先生に言われなくてもわかるはずだが、えてして世の多くの人たちはこういう謳い文句に弱い。つい買ってしまい、読んだ当日に、内容はすっかり忘れてしまう(と思う)。
時間とお金の無駄遣いの極みだが、こういう類の無駄が経済を動かしているのも一理。世の成り立ちとは、よくわからないものである。
(第106回 220813)
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