Out of sight, out of mind.
ことわざ
中学を卒業する時、ちょっと親しかった先生が、この言葉を添えた色紙をくれた。日本語では「去る者は日々に疎し」と訳されることが多い。
たしかにそうかもしれない。視覚と脳はつながっている。
「外国に行っても絶対忘れないでね。手紙のやりとりしよう。絶対だよ」
メールがなかった時代、そんな約束をした友人同士がいたとして、いったいどれほど手紙のやりとりが続いていたことだろう。やはり人は、会わなければ忘れてしまうのだ。
3年以上に及ぶコロナ禍によって、この言葉の意味を体感した人も多いだろう。事実、私もそうである。
とはいえ面白いもので、反対の意味の言葉もある。
「君子は和すれども同ぜず。小人は同ずれども和せず」(『論語』)
いい友人同士は理解し合っているから、無闇に一緒にいない。ろくでもない人同士は互いに不信感があるから、いつもツルんでいる。
「Absence makes the heart fonder」(ことわざ)
近くにいないと、かえって愛情が増す。
いずれも真実なのだろう。
(第114回 230402)
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