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紺碧の将

クラプトンとデュアン・オールマンの壮絶なギター・バトル

file.092『いとしのレイラ』デレク&ドミノス

 16歳くらいのとき、このアルバムに出会い、50年近く愛聴している。

 はじめは2枚組のLP、次いでCD化された2枚組、次はリミックスされた1枚のCD、そしてジャムセッションなども含めたLPサイズボックス入りの3枚組CDと、いくつものバージョンを揃えている。

 なぜ、これほど繰り返して聴いても色褪せないかといえば、緩と急のバランスがいいからだろう。基本的にサウンドはレイドバック。かつてクリーム時代に火花を散らすようなギタープレイを披露していたクラプトンとはまったく異なり、和気あいあいとした雰囲気のなかで、気持ちよさそうに演奏している。

 ところが、ゲストのデュアン・オールマンとのギター・バトルとなると一転して壮絶な空気になる。しばしば「クラプトンとオールマンのどちらが素晴らしいか」と話題になるほど、鬼気迫る演奏だ。

 どちらが優れているといった判断は避けたいが、このアルバムでのデュアン・オールマンのスライド・ギターは歴史に残るといってもいい。彼はこれを置き土産にあの世へ行ってしまった。

 とりわけ壮絶なのは、「ハヴ・ユー・エヴァー・ラヴド・ア・ウーマン(Have You Ever Loved A Woman)」でのギター・プレイ。情念がほとばしり、愛にともなう悦楽と苦悩に身悶えするような一世一代の共演である。他に「ハイウェイへの関門(Key To The Highway)」も秀逸。

 タイトルナンバーの「いとしのレイラ(Layla)」は歴史にその名を刻む名曲。レイラとはクラプトンの親友ジョージ・ハリスンの奥方パティ・ボイドのことだが、なんとクラプトンは横恋慕してしまう。そのときの心の様子がこの曲に表現されている。高らかに絶唱し、彼女への愛を世間に宣言している。その後、ジョージとパティ・ボイドは離婚し、クラプトンとボイド嬢はめでたく結婚した。さらに面白いのは、その結婚式にジョージが参列していること。あっけらかんというか、無節操というか……、よくわかりません。しかし、あれほどパティへの愛を激しく歌ったのにもかかわらず、二人は離婚する。かくて、曲だけが残り、半世紀を越えて愛聴されている。

 全編通し、クラプトンのヴォーカルは声域が狭く、青臭い。未熟だが、懸命に歌っていることがいい結果につながっている。

 

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