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紺碧の将

植物の境界

2023.12.24

 新宿御苑を庭のように歩いているが、あるとき気づいたことがある。

 歩くとき、私の視線は真正面から斜め上45度くらいに向いている。ちなみに、そういう人はあまりいない。せっかく料金を払って御苑に来たにもかかわらず周りの風景は一顧だにせず、スマホに見入りながら歩いている人が少なくない。彼ら彼女らの首は斜め下に向き、猫背になっている。どうやら一時たりとも目が離せないらしい。

 ま、いいか、そんなことは。

 ふと、ほぼ真上を見上げたときだった。3本の大木の葉っぱが、みごとな境界を示していたのだ(写真)。

 緑の葉がついている木はおそらくナラ、下に見える葉が落ちた木はなんだろう? わからない。

 それぞれの葉は同じ高さにあった。互いに侵入しないよう、絶妙な境界を設けている。おそらく葉が互いに入り組んでしまうと不都合があるから、そのようにしているのだと思う。驚いた、というより感動した。

 植物に目はない(と思う)のに、いったいどうやって意思疎通をしているのだろう。

 ひるがえって人間のやることといったら……。あっちでもこっちでも争いが絶えない。ほんと、植物に見習ったら?

(231224 第1203回)

 

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