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紺碧の将

近くに住みたいなと思わせる書店をつくってしまった男

2012.10.14

 前回に続き、次号の『Japanist』の話題を。
 創刊号以来続いている「Leaders of JAPAN」というコーナーがある。先頃、自民党総裁に返り咲いた安倍晋三氏にも出ていただいたことがあるが、基本的には地方自治体の首長に取材することが多かった。地方自治体の首長はマネジメンターなので「経営のよしあし」がはっきり分かれる。その独自のマネジメントを探ることに主眼をおいてきた。
 次号(第15号)で初めて経済界のリーダーにご登場いただいた。
 増田宗昭氏。TSUTAYA、Tカードを運営するカルチア・コンビニエンス・クラブ株式会社の代表者だ。
 どうして増田氏に白羽の矢をたてたかといえば、以前このブログ(※「書店の、ある理想型」2月10日付)でも紹介した代官山蔦谷書店をつくったからだ。
 その際にも書いたが、その書店こそ私が思い描く理想の書店だった。
 選書の妙、専門的知識のある店員(同書店では各ジャンルごとにコンシェルジュと呼ばれる人がいる)、文具や美術品とのマッチング、ヴィンテージマガジンのバックナンバーなどアーカイブ的な要素、カフェやゆとりある空間などサロン的な要素、建物のデザイン性などがいずれも高いレベルで結実している。音楽はポップス系のみならず、ジャズやクラシックなど大人向けのコンテンツも充実し、気に入ったソフトを手に取り、コーヒーを飲みながらずっと聴いていてもいい。もちろん、映画のパッケージソフトも充実している。敷地内には洒落たレストランやプレミア仕様のコンビニなどもある。『Japanist』でおなじみのエアロ・コンセプトのコーナーもある。とどのつまり、“この近くに住みたい” と思わせる要素がふんだんにあるのだ。
 深夜2時まで営業しているので、住まいが近ければ「自宅の別室替わり」「自宅の庭替わり」に使うことも可能だろう。これだけの空間を個人でつくることはできない。
 増田氏は、感度の高い人たちが集まることによって新たな価値を創出する空間、いわゆる本物のサロンとして機能する場にしたいと話されていたが、現にそうなりつつある。
 私は『Japanist』を感化装置としてとらえている。それを媒介にしてさまざまな感化を促す装置。形の上では紙の束だが、最終的に目指すところは人の心における変化(=感化)である。
 代官山蔦谷書店の目指すところもそうだ。「モノを売るのではなく、生き方を提案する」というのが増田氏が一貫して唱えてきた経営理念だ。
 増田宗昭氏の経営哲学や同書店のコンセプトに焦点を当てた「夢しか実現しない」という12ページの記事、ご期待ください。もちろん、同書店で購入できます。
(第374回 写真は、代官山蔦谷書店中庭にあるケヤキの大木の前で増田社長と)

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