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紺碧の将

サクラの色

2014.03.19

ほんとうのソメイヨシノ 春はもうすぐ目の前。本来、待ち遠しいはずの季節到来と言いたいところだが、鬱陶しいことがいくつかある。ひとつは言わずとしれた花粉症。

 私の花粉症歴はかれこれ十数年になる。一時は、海外に逃避したいと考えたこともあったほど。しかし、昨年、ある対策を思いつき、それを実行したら、かなり症状が軽くなってきた。

 どんな対策か?

 なにもしないことである。以前はシーズン前に注射を一本打ってもらい(おそらくステロイドだと思う)、その後、朝・晩と薬を飲み続けたのだが、昨年から何もしていない。あらゆる薬は体に悪いということがわかったので、花粉症くらいで薬を飲むのはやめようと思ったのだ。

 結果は上々だ。はじめの頃はつらい時期もあったが、そのうち慣れてくる。今でも症状は出ているが、薬を飲んでいたときより明らかに改善されている。

 結局、花粉症の薬は体の反応を鈍くするために、さまざまな機能を下げるのだろう。当然、免疫力も下がる。お金もかかる。眠くなる。いいことはなんにもないのである。

 もう一つ、鬱陶しいのは花見を目的とした観光ポスターだ。この時期になると、駅の構内などに「これでもか!」というくらい、たくさんのポスターが張り出されるが、ほんとうに日本人はサクラが好きなのだろうかと訝ってしまうくらい、インチキなポスターがあふれている。だって、サクラ(ソメイヨシノ)と言いながら、毒々しいまでのピンク色。どう見ても、寒桜か桃にしか見えない。もちろん、どぎついピンク色は画像処理によるものだろう。しかし、桜前線が報道されるくらいサクラ好きの日本人が、現実と異なる色のポスターに惹かれ、旅に出るというのは、まがいものにダマされやすい国民ということを証明しているようなものではないか。

 今年、ひととおり見たなかでは、千鳥ヶ淵と弘前城のサクラのポスターがまあまあだった。他は論外である。

 ソメイヨシノの良さは、じっと見なければわからないほどのピンクがほんのり染まった白い花びらとゴツゴツとした幹にあると私は思っている。けっしてソメイヨシノはピンクではなく、限りなくピンクに近い白なのだ。

 同じように、俳優やタレントの肌がサイボーグのように過剰な処理を施されていることに気づく。結局、あのようなポスターやテレビ映像を見ているうちに、生身の人間が汚く思えてしまうのではないか。

 なんでもそうだが、ブラッシュアップや修正はほどほどにしなきゃ。

(140319 第494回 写真上はほんとうのソメイヨシノ)

 

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