多樂スパイス
HOME > Chinoma > ブログ【多樂スパイス】 > テリーのロボット型オーディオ

ADVERTISING

私たちについて
紺碧の将

テリーのロボット型オーディオ

2008.03.02

 再び北原照久さんのネタでございます。

 過日、本のための2度目の取材に北原氏の事務所を訪れた。

 事務所は、横浜にあるブリキのおもちゃ博物館前のマンションにある。全部で何部屋あるかわからないが、この事務所も多くのコレクションで埋め尽くされているのは言わずもがなである。とりわけ目を引くのが、ロボットの形をした特注のオーディオ装置。写真の通り、5体ものロボットがオーディオ装置を内蔵してデーンと仁王立ちしている。

 まず、部屋に入るなり、北原さん(以下、テリーと記す)は新着のロボット型オーディオにつかつかと近寄り、それを購入した経緯を説明してくれる。オスカーとフィリップスを組み合わせたスピーカーは発注後、1年半かかってようやく到着したと言って、嬉しそうに音楽をかける。

 曲は、『レフトアローン』。

「どお? いい音でしょ?」

 なるほど、ええ音やなぁ。

「アンプはこれから作ってくれるって言うんだけど、また1年半くらいかかるみたいな話をしているよ」

 そりゃ、えらい長い話やなぁ。

 その後、2月に行われた自身の還暦パーティーの話に及び、あれが凄かったこれが凄かった、となかなか取材に入れるような雰囲気ではない。話が止まらなくて、それどころではないのだ。

 しかし、いつの間にか、本題に入っている。四方山話から取材にスーッと移行している。気がついたら、取材が始まっていたという感じなのだ。まさに理想的な展開と言える。

 今制作中のテリー本は「出会い」をテーマにしたものだ。人との出会いが人生を大きく変えてくれるということ。いや、それ以外に人生を大きく変えるものはないのかもしれない。自分だけで変わったように思えて、その実、そういうことはほとんどない。だいたい、誰かの影響によって、人間は変わっていくのだ。良い方向にも悪い方向にも。誰か、というのは、人それぞれだけど。

 タイトルはまだ決まっていない。そろそろ決めなきゃいけない時期だが、お互いに相手が決めてくれるものと思っている。本の体裁はほぼイメージが仕上がっているのだが、肝心のタイトルはいったい、いつ頃、どこから降ってくるのだろうか。わからない。ちょっとひねりたい気もするが、あまりわかりにくいのは御法度だ。さじ加減が難しい。

 それにしてもテリーの収集熱はいったいいつまで続くのだろう。たぶん、相当長生きするだろうから(根拠はないが、そうとしか思えない)、これから数十万点はコレクションが増えるだろう。それらをどうやって保管し、いつ、どのような形で展示するのだろう。あまりにもスケールが大きすぎて、想像さえできない。

 それから、こうも思った。いったい、毎日全国を駆け回っているテリーは、いったいいつ、あのロボット型オーディオで音楽鑑賞するのだろう。そんなことを思いながら、山手の坂道を下ったのである。

(080302 第38回)

 

 

 

【記事一覧に戻る】

ADVERTISING

メンターとしての中国古典(電子書籍)

Recommend Contents

このページのトップへ