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紺碧の将

書籍であり、美術品でもある

2014.11.01

ブックケース入り 「日本の高級ホテルや高級旅館のライブラリーにこんな本があったらいいな」と話しながらイメージを膨らませた結果、『Japanist』の集大成版を編むこととなった。本の中身は、「これぞニッポン」といえる記事の数々。それを纏うのは「世界のエアロコンセプト」のブックケース。ジュラルミン製の精密なブックケースに収まった分厚い本をイメージし、胸が高鳴った。

 4月から編集が始まり、過日、ようやく形となった。当初はもっと簡単にできると思っていた。なにしろ、一度記事にしたものばかりだから。しかし、今までのバックナンバーから、主な記事を読み直してセレクトする作業だけで多くの時間と労力を割いた。基本的に、政治的なもの、数値の多い記事などは省いた。5年後でも10年後でも陳腐化しない本にしたかったからだ。しかし、少したつと他の記事と入れ替えたくなってしまう。その繰り返し。
 レイアウトをリデザインし、文章を何度も推敲した。そうこうするうち完成予定は大幅にずれた。だからこそ、完成したときの感動はひとしおだった。
 日本の本には素晴らしいものがたくさんあるが、美術品のような書籍はあまりない。本好きとしては、そういう本をつくってみたかった。それが実現したのだから本望である。と、ここで意外なことに気づく。本望とは、本が望むことなのか(ちがうだろう)。
Essence of J 表紙 さて、この本の価格97,200円(税込み)は高いか安いか意見が分かれるところだろう。エアロコンセプトの名刺ケースは3万円近くするのだから、このサイズのブックケース付きでこの価格は安いと言ってくれる人も実際にはいる。シリアルナンバーが刻印された限定950部で、全カラー512ページの豪華本なのだから、と。
 もちろん、そういう人は一握りだろう。一握りの人を対象に本をつくれるというのは、なんと幸せなことか。しみじみとそう思う。発行人の奥山秀朗氏に心より感謝。
(141101 第529回 写真上はブックケースに入った『The Essence of Japan』、下は表紙)

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