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紺碧の将

山気日夕

2015.02.22

山気日夕1 前回のブログで、水石の世界を知ってしまい、「ヤバイことになった」と書いた。

 さっそく、奥山秀朗氏と森前誠二さんの拠点「雨竹亭」(埼玉県羽生市)を訪れた。今までにも取材を含め、何度か訪れているが、今回の目的は水石である。
 森前さんは心得たもので、すぐに水石ばかりを集めた収納庫へ案内してくれた。
 棚にびっしり収納された水石の数々。奥山さんと「こりゃあ、たまんないっすねぇ」を連発しながら、目を皿にして見入ってしまった。どうにも笑顔が止まらないのだ。
 いいモノを見ながら、欲しいモノを選ぶという行為は人間の本能に近いのかも。なにしろ、楽しくてしかたがないのだ。
 私が手に入れたのは、抹香石の水石(写真)。四国だけで採れる石らしく、空海にも由来がある。黒光りして、幾筋もの線がある。形は明らかに山並み。
 帰ってすぐ、銘をつけた。『山気日夕』(さんきにっせき)。昼も夕も山は気を発している、あるいは夕日が落ち逆光になってだんだん山並みのシルエットが黒ずんでいくという情景を銘に込めた。
山気日夕2 銅でできた水板に山砂を敷き、その石を置いた。おそろしく絵になる。
 これをリビングのテーブルの端に置き、これ以外のモノは置かないことに決めた。
 するとどうだろう。見慣れた家の中の空間に神域ができたというか、きわめて清浄な空間ができたのだ。それを感じながら生活できることの喜びをなんと表せばいいのだろうか。
 奥山さんも数寄者だ。朝10時に雨竹亭で待ち合わせ、結局、夕方まで森前さんと話に夢中になっていたというのだから。
 風流を理解する人は信用できる。
(150222 第545回 写真はいずれも購入した『山気日夕』。盆栽と書は森前さん所有)

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