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紺碧の将

生き仏マリリンの意地悪な生態

2008.05.11

 右の写真を見て、「またネコ自慢かよー」とお嘆きの方々、ご安心あれ。今回はネコ自慢ではなく、ネコ愚痴である。

 以前、このブログにも書いたように、我が家には海という天才ネコがいる。どんな風に天才か?

 まず、呼べば必ず返事をする、朝玄関で正座して見送りする、寝坊すると起こしにくる(耳元でニャッと鳴く)、寒いときはマフラーがわりに首に巻いても怒らない等々、非常に役に立つネコなのである。

 海の自慢をしていると、きりがないので、残念ながらここまでである。

 我が家にはもう一匹ネコがいる。その名はマリリン。写真のネコがそれである。

 マリリンを飼い始めてからの22年間、飼い主とペットの間にあるべき交情は、ついぞ一度もなかった。いったい、君は今までどこにいたのか? と思うくらい、ふだんは姿を現さない。基本的に人間を信用していないのだ。

 それにしても、彼女の生命力にはホトホト驚いている(変な日本語)。まるで死ぬのを忘れたかのようだ。聞くところによると、飼いネコの平均寿命は10歳に満たないらしいが、マリリンはゆうに2倍を越えている。肉はげっそりと削げ落ち、最近は左側の頬が腫れてしまい、半分だけアンパンマン状態。それに圧迫されて、左目が細くなっている。痛みもなさそうなので放っておいているが、夜階段あたりで鉢合わせると、正直、怖い。

ふだんはヌボーッとしているが、私の姿を見るや、いきなり猛ダッシュで逃げていく。人間ならば110歳くらいになっていると思うのだが、その時ばかりは若者になる。ずいぶん嫌われたものである。

「いったい今までにおまえは何をしてくれた? ただ餌を食らって惰眠をむさぼるだけじゃないか。今までの22年間にいくら餌代がかかっていると思っているんだ? 創業当時、お金がない時だって、ちゃんと高い餌を買ってあげただろ?」と女々しく愚痴るしかないのである。

 このネコは老境に入り、ますます嫌味に磨きがかかっている。昼間は死んだように眠っているが、いざ起きて、餌がないとウシガエルのような大きなだみ声で鳴く。餌の鮮度が少しでも落ちると、気に入らなくてまた鳴く。とんでもなく贅沢なネコで、食育上、あまり感心できない。

「いったい、地球上の何十億人が飢えていると思っているんだ、このボケ! もう食糧危機は目の前にきているんだぞ!」と叱るものの、じーっと生き仏のようになって馬耳東風をきめている。

 夜になると徘徊癖が始まる。肉球が薄くなっているためか、歩くと爪の音がうるさい。カチカチと大きな音をたてながら、私が安眠している部屋の周りを走り回る。

 すかさず起きてマリリンに言う。

「おまえなー、いったい何が気にくわないんだよー」

 もう、泣き声になるしかないのである。

(080511 第49回)

 

 

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