旅がしたい
高卒で建築界の頂点近くに上り詰めた安藤忠雄氏が書いていた。自分を育ててくれたものは、読書と旅である、と。
若い頃、彼は本を携え、あてどもなく旅をしたという。その時に得た体験が血肉になり、本で培った教養が体験を秩序立て、彼のフィロソフィーに涵養したと想像するに難くない。
私もあちこちと旅をした。近場の時もあれば、地球の裏側へ行くこともあった。その時は、とくだん何かを得ているという感懐はない。しかし、時間が過ぎて、それらは私の脳内で発酵していった。いま、冷静に、平然と、自分のものの見方で世の中を渡っていけるのは、まさしくそれらの〝発酵物〟に負っていると言っていい。
ひるがえって、いまはどうか。旅する機会がぐーんと減った。海外はアフリカへ行って以来だから、5年くらいご無沙汰だ。国内にしても、仕事の出張のついでに周囲を回る程度。これではいかん。
くしくも来年で還暦。それを記念して、車で日本一周する計画である。それはそれとして、もっと気楽に、「そうだ、ちょっと時間が空いたから、○○へ行ってみようか」という心持ちにしたい。早くしないと、歩くのもおぼつかない老人になってしまう。
※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。今回は「痛い思いをする前に考えるべきこと」。
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(180306 第794回 写真上はミラノの街角)