このなかになにが詰まっているんだろう?
禅僧で芥川賞作家の玄侑宗久氏と医師の土橋重隆氏の対談本『死と闘わない生き方』(ディカヴァー携書)はじつに面白い本だ。物の見方が新鮮で、驚きの連続である。
玄侑さんのこういう話があった。
「樹齢250年の松の樹になった自分をイメージするんです。そのまま根のすみずみまで意識をはりめぐらせていくと、脇の下に両手を差し込んでグッと持ち上げらえても、びくともしません」
血流が体のすみずみまで行き渡り、毛細血管が開いた状態になると、体重が重くなるという。しかも、重くなると体温が上がるというのだ。この本を読んだのは2度目だったが、この部分をすっかり忘れていた。
ここで思ったのが、イメージするだけでそれほどの変化を与えてしまう巨樹の力だ。では、巨樹そのものはいったいどれだけすごい存在なんだろう、と。
新宿御苑に行くたび、巨樹に触ってしまう。新宿門の近くの大スズカケの樹には必ずタッチすることにしているが、それ以外の巨樹に触ることも多い。なんというか、無視できないのだ。それくらい、力強いオーラで引き寄せられる。
そして思う。この太い幹のなかには、いったいなにが詰まっているんだろう、と。科学的には解明されているが、「ほんとうは」なにが詰まっているんだろう? 想像するだけで興味が尽きない。
そういえば、今号の『Japanist』では巨樹ばかりを描く石村雅幸氏を紹介している。巨樹のことを詳しく知りたいと思う。
※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。今回は「いい時も悪い時も同じ」。
https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo
(180728 第830回 新宿御苑のイチョウの樹)