マックブック騒動
いきなりパソコンがおかしくなり、操作をしているうちにディスプレイ上のデータが全部消えてしまった。この時の、引き潮のように血が引いていく感覚……。最悪のことを考えた。自宅にあるiMacに外付けハードディスクをつないで調べたところ、40日前にすべてのデータを保存している。完全にアウトではないにしても、40日間に作業したものが消えてしまった? 創作したものだけではなく、金融機関とのやりとりなど、すべて一台のMacBook Proでこなしている。言うなれば、この小さなパソコンは私の頭脳代わりでもある。それが壊れたとなれば、ただでは済まない。
兆候は前日にあった。仕事を終え、システム終了をしようとしても終了できない。やむなくスリープ状態にしたまま自宅に帰った。翌朝、ソフトを立ち上げようとしたら冒頭のような事態になってしまったのである。
銀座のアップルストアへ行き、Genius Bar(ものすごく自信満々な名前)で診てもらった。結果的にこうして原稿を書いているのだから問題なく復旧したのだが、あらためてデジタルデータの危険性を再認識した。デジタルは危ういものである。
今はなんでもかんでもペーパーレスで、『Japanist』の校正もすべてpdfデータでのやりとりだ。最後の最後、印刷会社にデータを入稿する時に初めてプリントをする。そもそも市ヶ谷のChinomaにはプリンターがない。なるべく紙をムダにしたくないという意識があり、なければないで済んでしまうのだ。
その点、アナログは存在感がある。先日も平安時代や桃山時代あたりの書物を見る機会があったが、しっかり保存しているためか、きれいなものである。
もし、今どこかの国にパルス攻撃をされたらどうなるのだろう。あらゆるデータが一瞬のうちに消え、社会は大混乱する。大混乱どころの騒ぎではなく、社会は崩壊するにちがいない。われわれはそういう危うい橋の上を渡っている。そんなことを考えさせられてしまった一幕であった。
※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。今回は「いい時も悪い時も同じ」。
https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo
(180801 第831回 写真はMacBook Pro)