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紺碧の将

新宿御苑で気を鎮める

2010.10.07

 猛暑がようやく去り、爽やかな秋がやってきた。天は母の心のように蒼く高く、風は真理を司るなにものかの子であるごとく清澄だ。こういう時こそ、気を鎮める絶好の機だ。

 音楽を聴きながら新宿御苑を一周し、その後、明治神宮御苑まで足を伸ばし、明治神宮に参拝して帰ってくると心は驚くほど澄み切っている。その間の時間は交響曲4曲分以上、歩数にして約11,000。ちなみに今日聴いたのは、ドヴォルザークの第8番、ベートーヴェンの第7番と第8番、ハイドンの第99番、そしてモーツァルトの第25番の途中までである。

 新宿御苑には驚くほど素晴らしい木がある。白神山地のマザーツリーのような木がたくさんあるのだ。特に好きな木は、日本のスズカケの母でもある右上の木。ヨーロッパから入ってきた最初のスズカケがそれで、国内各地に生えているスズカケはすべてこの木の末裔らしい。

 とにかく、近寄ると巨大な岩のようである。根は多足動物のようで、地面をしっかりとつかんでいる。見ているだけで神々しく、何か大きな力をもらえそうだ。

 明治神宮の森もいい。もちろん、この森も自然林ではない。この森を造営するに際し、全国から献木を募り、その結果、10万本を超える木が集まった。中には小学生が小遣いをためて買った木もあったという。それが今では鬱蒼とした森の一部になっている。ありがたいことである。木々にも感謝だが、浄財と労力でこの森をつくってくれた当時の人たちにつくづく感謝したい。

 明治天皇の御製と昭憲皇太后の御歌が境内に掲げられているが、それも素晴らしい。

 

あらし吹く世にも動くな人ごころいわほにねざす松のごとくに(御製)

 (嵐が吹いているような世の中にあっても不動の心をもちましょう。岩に根ざす松のように)

 

みがかずば玉の光はいでざらむ人のこころもかくこそあるらし(御歌)

 (磨かなければ玉も人も光りません)

 

 こんなメッセージを発する政治家の台頭が望まれる。

(101007 第197回 写真は新宿御苑のスズカケノキ)

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