歴史ある建築物と美術の調和
邸宅を使った美術館が好きだ。パリやバルセロナのピカソ美術館はその双璧だろう。
邸宅と言わず、歴史ある建築物を改装し、美術館として使っているところはおしなべて格調高い。明治期にテナントビルとして建てられた三菱一号館を活用した三菱一号館美術館や旧朝香宮邸を活用した東京都庭園美術館、さらに今回紹介する東京ステーションギャラリーなど、いずれも歴史の重みを感じさせる佇まいが美術品と絶妙な調和を醸す。
東京ステーションギャラリーはその名の通り、東京駅に隣接する美術館で、丸の内北口にある。創建当時の駅舎の壁をそのまま用いているのが特徴だ。駅舎をそのまま使った美術館としてはオルセー美術館が有名だが、東京ステーションギャラリーは広さもほどよく、じっくり鑑賞するに適した空間だ。
おりしも現在行われている企画展は「奇蹟の芸術都市バルセロナ」。バルセロナは一度しか訪れたことがないが、カタルーニャ独特の明るい風光と斬新で奇抜なアートが混在する個性的な街並みが印象深い。建築物は言うに及ばず、家具やら扉の把手やステンドグラスやら、なんでもアートになってしまう。同じスペインでも、マドリッドよりずっと開放的だ。
東京ステーションギャラリーの風景をちょっとだけ紹介しよう(許可を得て撮影しています)。
たとえば、これはどお? 展示の仕方が洗練されている。
絵画も古いレンガの壁に掛けただけでこんなに品格が上がる。
2階と3階をつなぐ螺旋階段は、歩くだけで心地いい。優雅な自分に浸れる。
壁はもちろん、昔使われたレンガ。ひとつひとつ表情がちがう。
天井には、洒落た照明機器がぶら下がっている。
これで入館料1,300円は安い。
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(200216 第970回)