One man’s ceiling is another man’s floor.
ポール・サイモンの『ひとりごと』に収録されている「君の天井は僕の床」の原題。
サイモンの詞(詩)は、「サウンド・オブ・サイレンス」をはじめ、思考が深いうえ、韻を踏んだ音感がとても豊かだ。個人的には、ボブ・ディランよりノーベル文学賞に値すると思っている。
集合住宅を遠目で見れば、上下を隔てる間仕切りは一枚の板に等しい。しかし、立場によって天井になったり床になったり……。
ファクト(事実)を重視せよという風潮だが、だれにとっても等しい事実とそうではない〝なんちゃってファクト〟がある。歴史もそうだが、見方が変われば〝歴史的事実〟も変わる。コロナによる死者の数だって、国によって定義は異なる。
事実は参考程度にとどめ、その都度ひとつひとつの事象について熟考し、自分の見識を磨くべき、とポールが言ったかどうかはわからないが、いずれにせよ、ものごとを多面的に見ることの大切さを歌っているのではないだろうか。
(第15回 200723)
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