A river runs through it.
ノーマン・マクリーン
ノーマン・マクリーンの同名の小説のタイトルから(邦題は「マクリーンの川」)。このタイトルのまま映画にもなっている。
牧師の父親とふたりの息子の、フライ・フィッシングをからめた物語。父親はフライ・フィッシングを宗教の一部として、ふたりの息子は遊びの対象として夢中になる。
とりわけ、弟のポールの腕は並外れている。彼の放つフライ(疑似餌)は自然界に棲む虫のごとく水面すれすれのところを飛び、魚を幻惑する。しかし、自堕落な生活が災いして、命を落とすことになる。
作品は、兄と父が弟ポールを回想するというシンプルな構成である。
――そして最後には、すべての存在が溶解、融合して、たった一つの究極の存在となり、一筋の川がそのたった一つの存在を貫いて流れているのを意識する。
終わり近くの一文からタイトルがつけられている。
〝it〟(一つの存在)とはなにか? あまりにも深遠で、想像は果てしなく広がっていく。いずれ、本サイト内の「死ぬまでに読むべき300冊の本」で詳しく紹介しようと思っている。
(第17回 200805)
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