Their purpose, therefore, in going to war was largely dictated by security.
ダグラス・マッカーサー
連合国軍最高司令官として敗戦後の日本を統治したマッカーサーは、朝鮮戦争のさなかに任を解かれ、アメリカに呼び戻された。そして、上院の軍事外交合同委員会で、当時の日本の状況を語った後、こう証言した。「したがって、日本が戦争に入ったのは主として自衛のためであった」
日本は近代産業国家とはいえ、産業の主は繊維産業。石油をはじめ地下資源は東南アジアの海域にあった。われわれがそれを売らないことにしたため、日本は1000万人から1200万人が失業する可能性が生じ、自衛のために戦争に突入せざるをえなかった、と。
マッカーサーのこの発言によって日本の戦争責任がまったくなかったことにするのは無理があるが、事実上、東京裁判で日本を裁いた人の発言はあまりに重い。
戦争に至った理由は、だれかを悪役に仕立て上げれば済むという単純なものではない。後世の人間が歴史を語る際に忘れてはならないのが、全体を俯瞰して見るということ。それをマッカーサーは教えてくれた。
(第29回 201126)
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