Love is doing small things with great love.
至言だ。「愛とは、大きな愛情をもって小さなことをすること」。
燎原の火のごとくパーッと燃え上がった状態を愛とも呼ぶが、早晩冷えていくことは自明の理。それよりも、炭が少しずつ赤くなり、チョロチョロと火を放ち、いつまでもじんわりと温かいのと同じように、愛情は小さなことの連続のうえにできるのだと思う。
と書くと、いかにも年寄りじみているが、それは若い頃、多少なりとも火傷をした者だけがわかることでもある。だから、若い人たちに言いたい。多いに恋愛をして、多いに火傷をしなさい。
それと同じように、大きなことをなすためには、小さなことを地道にコツコツと続ける以外にない。東洋にも「積小為大」という言葉があるように、成否を分けるポイントは「小さなことを続けられるかどうか」ではないか。
超一流の人たちも、みんなそういう道をたどっている。そりゃ、世の中にはとんでもない才能を持った人がいる。モーツァルトやピカソのように。でも、そういう人は黒い羊のようなもので、ほんの一握り。99.999999……の人は、コツコツと小さなことをやり続ける以外にない。
しかし、現代はそれが困難だ。なぜなら、「簡単にこれができますよ」という悪魔の囁きがあっちにもこっちにも溢れているから。もちろん、それらは「売らんかな」ありきであることは明白。簡単に得られるものなどほとんどないし、また簡単に得られたら、面白くもなんともない。
マザー・テレサの言葉は、自戒の意味でもときどきつぶやいている。
(第44回 210320)
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