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紺碧の将

創業34年にして思う

2021.04.05

 ある原稿を書きながら、あらためて平均的な会社の寿命はどれくらいかと疑問に思い、調べてみた。

 国税庁の資料によると、会社が10年続く確率は約6%、20年続く確率は0.4%、30年続く確率は0.021%だという。ということは、30年続く会社は5000社に1社しかない。大海のなかでイワシが生き残る確率は知らないが、自然の生態系と同様、会社も生き残るのは至難の業だ。 

 株式会社コンパス・ポイントが4月1日で満34年を迎えた。創業時はコピーもファックスもワープロもなく、仕事用の道具は携帯電話以外、せいぜい定規、カッター、糊、ピンセットていど。開業資金ゼロのスタート。企画書もデザイン画も手書きだった。

 3ヶ月後に事務所を構え、初めて国民金融公庫から借金なるものをした(200万円)。それで最初に買ったのは、なんとオーディオセットだった。なにはなくても音楽がないと始まらないのは今も同じ。

 創業時はバブルの勃興期で、その後数年でバブル崩壊。そしてアナログからデジタルへの移行、自社媒体『fooga』の発行、出版事業への参画、リーマン・ショック、『Japanist』の発行を経て、現在に至る。現在の売上規模は往年に比べ、かなり減っているが、その反面、無駄な贅肉がなくなり、筋肉質の経営体質になった。本サイト「Chinoma」など、世の中への発信力は前半期と比べ物にならないほど高まっている。

 目指すところもはっきりしてきた。ひとことでいえば、「知財創造企業たらん」ということ。これは自社もさることながら、事業に携わるステークホルダーすべてに対して言えること。モノやサービスがあふれ、あらゆるモノ・コトが飽和状態になってきた。これ以上のイノベーションの余地は少ない。いっぽうで、AIに依存し、独自性を失う企業・個人が急増している。

 そんな世の中だからこそ、それぞれ独自の知財を発掘し、育み、磨き上げることが、その企業なり個人が輝いて生き残る有効な手段になりえると思っている。

 そのために、なにをすればいいのか。それを考えるのが経営者の役割だ。

 余談ながら、私の創業からちょうど34年後の4月1日、娘が起業した。くしくも同じ27歳。業種も私と同じ。名前は以前、弊社で発行していた雑誌の名前である「fooga」にしたいと言ってきた。ただし、「oo」は無限大の「∞」。自分の可能性は無限大だと思っているようだ。

 どんな展開になるのか神のみぞ知るだが、いずれにしても続けるのは容易ではない。喜怒哀楽の多い人生になることだろう。

 気張れ! 小娘。

(210405 第1070回 写真は、創業当時と現在の商売道具。当時使っていた定規は今でも大事に使っている)

 

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