多樂スパイス

ADVERTISING

私たちについて
紺碧の将

昨今テレビ考

2021.04.19

 先日、初めて会ったある人とテレビの話題になった。その人曰く、「最近の若い世代はテレビを見ない。それが不思議でならない」。

 もともとテレビをあまり見ない私は、さほど不思議と思わなかったが、どうやらテレビを見ない人が増えているということは革命的な社会変化と映るらしい。そして、「テレビ局や電通も大変でしょうね」と言葉を継いだ。

 若い世代がテレビを見なくなったというのは事実だろう。テレビよりもスマホでYouTubeを見たり、SNSやゲームを楽しむ方を選んでいるようだ。興味の対象でなくなったのはテレビばかりではない。車やブランド物を欲しがらない、海外旅行にも興味がないという若者が増えているという。恋人同士でもセックスをしないカップルが多いとも聞く。それって生き物としてどうなんだろうと思うが、それはそれで社会の変化に対するナチュラルな反応なのだろう。他人がとやかく言うことではない。それに個人差はどの世代にもある。

 私自身を顧みるに、テレビを見る時間が増えたようだ。といっても、見るコンテンツはほぼ決まっている。バラエティ、ニュース、ドラマ、時事討論ものは見ない。見るのは、ネイチャー系、映画、教養番組、そして大相撲……。

 NHKのBSプレミアムで放映している「グレート・ネイチャー」と「ワイルドライフ」はよく見る。こればかりは現場で見るわけにはいかない。ときどきニョロニョロが突然画面に現れ、息が止まりそうになるが、長い時間をかけてさまざまなアングルで撮ったこれらネイチャーものは迫力満点。ときどき「日本百名山」も見る。

 映画は録画したものを2日に1本くらい見ている。民放で放映されるものはすべて録画してから見る。「これが健康にいい」などとうるさいコマーシャルを飛ばすためだ。

 あとは歴史や美術、音楽、書物関連の教養番組。そしてスポーツものは大相撲(厳密にはスポーツではないが)。以前はサッカーや野球を見ることが多かったが、いま、長い時間見続けるのは時間の無駄だと思うようになった。その点、相撲はあっという間に勝敗が決まるからいい。所作も美しいし、この国の真髄を感じる意味でも最適。歳を取ると相撲を見たくなると相場が決まっているが、どうやら私もそのテツを踏んでいる。

 結局、私は大衆的なもの、商業臭が強いものに興味がないようだ。これは子供の頃から変わっていない。

(210418 第1072回)

 

●知的好奇心の高い人のためのサイト「Chinoma」10コンテンツ配信中

 

本サイトの髙久の連載記事

◆音楽を食べて大きくなった

◆海の向こうのイケてる言葉

◆うーにゃん先生の心のマッサージ

◆死ぬまでに読むべき300冊の本

◆偉大な日本人列伝

 

髙久の著作

●『葉っぱは見えるが根っこは見えない』

【記事一覧に戻る】

ADVERTISING

メンターとしての中国古典(電子書籍)

Recommend Contents

このページのトップへ