Life is like riding a bicycle. to keep your balance you must keep moving.
定年までがむしゃらに働き、定年と同時に社会のなかでの自分の立ち位置を失い、それから下り坂を転げ落ちるような人生の落魄を体現しているような人が少なくないという。アインシュタインがそれを危惧していたとは思えないが、この言葉はそんな人たちにピッタリの言葉ではないか。
「人生とは自転車のようなもの。倒れないためには、走り続けなければならない」
高齢者だけではない。働き盛りにも学生にもあてはまる。走り続けるためには、夢中になれるテーマを見つけること。それさえ見つかれば、老いも若きも倒れることはない。
しかし、それを見つけることが難しいのだ。
本コラムの2回めでショーペンハウアーの「A man can surely do what he wills to do , but he cannot determine what he wills.」という言葉を紹介した。「人は自分のやろうとしていることはできるが、自分の意志を決定することはできない」という意味だ。アインシュタインが「私の信念」と題する文章で、こう書いていたことにも触れた。
――私は若いとき、(上掲の)ショーペンハウエルの言葉に強く共感し、艱難辛苦を味わうたびに助けられたものです。自由意思をいつも持てるとは限らないと思っていれば、どんな情況をも受け入れることができるものです。――
なにはともあれ、走り続けるためには、自分が大好きなテーマを見つけること。60歳を過ぎてなお、それが見つかっていない人は、おおいに危機感をもつべきだ。そして、自分の心を真っさらにし、本心から自分が求めているものはなにか、自問自答しながら答えを見つけること。
お楽しみはそれからだ。
(第52回 210516)
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