In politics, if you want anything said, ask a man; if you want anything done, ask a woman.
マーガレット・サッチャー
前回に続き、サッチャー女史の言葉を。
これまたきわめて直裁で、歯に衣着せぬお言葉。彼女の矜持がプンプン表れている。
「鉄の女」と畏怖されていたものの、そうなるまでにはかなりの抵抗に遭ったのだろう。もちろん、抵抗勢力は、それまで〈政治〉という閉じられた社交界を支配してきた男たちだ。そうでなければ、「政治において、言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。やってほしいことがあれば、女に頼みなさい」などという、あえて喧嘩を売るような言葉を発するはずがない。
明治維新や維新後の近代国家創生に尽力したのは、まさに〝損得勘定を考えない男ども〟であった。彼らはどうやって収入を得るかなど、はなから考えず、ひたすら新しい社会をつくるのだという志のために命を賭けた。
しかし、平和な世になったとたん、男のほとんどは守旧の塊と化した。政治にせよ役所にせよ大企業や文化団体にせよ、男たちは硬直した組織の権益を守るためだけの徒と化した。サッチャーは、それを強烈に揶揄したのだ。筆者は男であるが、彼女の言い分にはおおむね同意する。
(第56回 210613)
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