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紺碧の将

つまらない人生を選ぶ人たち

2021.07.19

 もうすぐ東京オリンピックが開幕する。私が日常的に使っている駅は、国立競技場の最寄り駅でもあるため、通常であれば、今頃は人でごった返ししているはず。しかし、駅の乗降客数はふだんとあまり変わらない。そのかわり、駅前の道路は封鎖され、全国各地の県警から派遣されてきた人たちが物々しく警備をしている。

 オリンピック開催に関して、いろいろな意見が交わされている。赤坂迎賓館で催された歓迎式典に際しては、反対派の抗議デモがあったようだ。

 私は積極的なオリンピック開催支持者ではないが、今回の決定に関しては支持している。無観客についても、しかたがないのだと思う。

 選手たちはもちろん、大会関係者はこのために多くの労力を割いてきた。だから、それらが無駄にならないよう、細心の注意を払って大会を成功裡に導いてほしいと願っている。それは、日本発のポジティブなニュースにもなる。

 よくわからないのは、この期に及んでも反対している人たちだ。もちろん、開催すれば感染は増える。これは自明の理だ。しかし、さまざまな工夫によって、感染をより少なく抑えることもできるはず。最初からそれを放棄するのはいかがなものか。

 感染リスクがあるから開催するべきではないと言う人は、すぐに自動車の運転をやめた方がいい。飛行機にも乗らない方がいい。正しく歩道を歩いていても、車が突っ込んでくることもあるから、ずっと家の中にいた方がいい。そもそも、生まれてから死ぬまで、一瞬たりともリスクがゼロになることはない。

 いつも思うのは、共産党などなんでもかんでも反対して生きている人たちは、毎日が楽しいのだろうか。どうして、わざわざイライラしたり怒ったり反対したり愚痴を言ったりするのだろう。

「うるさいんだよ。オレはつまらない人生が好きなのだ」と言われればそれまでかもしれない。人それぞれだから。でもなあ……と首をかしげてしまう。自分では逆立ちしてもわからないことにイライラしたりビクビクしたり批判ばかりしていて、いったいなにが楽しいのだろうか。

 幸い、日本は中国のような共産党一党独裁政治ではない。これまでの叡智を結集し、より良い社会制度を構築しようとしていることは事実だ。もちろん、そこには不備もたくさんある。一人ひとりが100%満足することは決してありえないから、必ず不満は残るだろう。

 しかし、人はさじ加減というものも必要なのだと思う。自分の努力や創意工夫で対処できることはできる限り尽力し、それ以外のことについては社会(=他者の集合体)を信用する。えてして、文句(愚痴)ばかり言っている人は、自分がやれることをやらずに他者(国や自治体や会社や家族や知人)の責任にしていることが多いようだ。少なくとも、私にはそう映る。

 私は基本的にイライラしたり怒ったりわけもなく反対したり愚痴を言ったりすることは、極力控えようと思っている。だからこそ、コロナ禍でもそれなりに楽しんでいられる。

(210719 第1085回)

 

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