空と詩の避妊手術
先月、突如、飼いネコの詩が発情期を迎えた。朝早く起こされるわ、ズームミーティング中に変な声を出すわで、一週間ほど散々な目にあったが、本人もどうしようもないのだろう。自然の摂理なのだから。
考えてみれば、生まれて半年ちょっとで出産できる体になるというのもつらいことではないか。しかも、年に2度妊娠できる。一度に5匹産んだとして年に10匹。そうまでしないと子孫が残らないのだ。ネコの生き残る確率はかなり低いということだろう。
まず、詩が手術を受け、翌日、詩を引き取るときにもう一匹のネコ・空を預けるという段取りになった。
手術の日の朝、私は詩をネコリュックに入れ、参宮橋にある動物病院まで20分くらい歩いて連れて行った。タクシーを使うより、声をかけながらいっしょに行った方がいいと思ったのだ。
不安だったのだろう、詩はリュックのなかで震えていた。震えが背中に響いてきたのだ。
「だいじょうぶだからね」を何度繰り返したことか。それが功を奏したのか、5分ほどで落ち着いてきた。
それにしても、動物病院はさまざまなカタチにデザインされた犬が多い。ネコも同様。雑種は空と詩だけかも。けっして負け惜しみではなく、私は雑種がいちばん好きだ。美しく、容姿に無駄がない。丈夫だし、性格もいい。それなのにタダってどういうわけ? こういう子たちが行き場もなく命を落としている一方、純血種は何十万円もの価格で取り引きされている。どこかおかしいと思わない?
(220131 第1113回 写真上は、書の稽古中、じっと手の動きを見つめる詩。あれこれうるさいことは言わないかわりに、「ちょっとちがうよね」というときは、首をかしげる。1時間くらい、飽きもせず見つめている。写真下は曲芸師の空。どうやって飛び乗ったのか、厚さ3ミリ程度の扉のエッジに乗っている。こちらは完全に体育会系である)
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