鳥海山療法
夏恒例の登山、今年は8年ぶりに鳥海山を選んだ。
その前に……。
予定通り決行するかどうか、直前まで迷いがあった。なんと、12日間も熱が出たのだ。うち6日は38度以上。ダルさをあまり感じず、寝込むことはなかったが……。ある日は炎天下での撮影も含め、終日外で働いた。友人に言わせれば、「歳をとって熱を感じなくなったんじゃない?」。それも一理あるかも。念のため、PCR検査を受け、陰性と判明した。
今回の風邪の原因はわかっている。極端に冷えすぎた冷房である。
エネルギー供給量が逼迫していると言われているのに、どこへ行っても異常なくらい冷えている。ふざけた話である。私は冷え、特にキンキンの冷房にからきし弱い。気がつくと、熱が上がっていた。
ようやく37度くらいに下がり、予定通り、秋田へ向かった。
はじめは多少ふらつくこともあったが、歩きながら山のエネルギーを蓄積していった。やがて脚が軽快に動くようになった。霧が晴れ、雲間から太陽が顔を出し、ギラギラと大地を灼いた。私も灼かれた。鳥海山はほとんど樹林帯がないため、ずっと太陽光を浴びっぱなしだ。汗が吹き出た。それを補うようにスポーツドリンクを飲む。それが格好のデトックスになったのだろう。脚の疲れは溜まっていたが、気分は爽快。美しい景色と心地よい汗が最高の治療薬だと思い知った。
残念ながら登頂はかなわなかった。頂上手前の外輪山を歩いているとき、霧がたちこめてきた。片側は急な崖、片側も転げ落ちたらケガは必定。おまけに周囲に人影がなくなっていた。
ここで滑落しておシャカになったらシャレになれないと思い、そこで昼食をとって休憩し、引き返すことにした。
まったく音のない世界、岩場の隙間に花が咲いている。大きな岩に腰をおろし、塩気の効いた鮭のおにぎりを2つ食べた。
旨いのなんのって!
これで完治。
忽然と現れる鳥海湖
道の先の霧
楽園の道
頂上付近の峰
引き返しポイント。向こうは崖。ここで霧に包まれながら幻想的なランチ
(220808 第1140回)
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