ぶらぶら大磯散歩
なるべくいろいろなところへ行きたい。海外ではなく国内を。だから登山や旅行、出張の際は、目的地だけでなく、その周辺のことを調べ、可能な限り足を運ぶようにしている。その一端は、このブログに書いているとおりである。
かねてから大磯を歩きたいと思っていた。名だたる政治家や小説家など文人墨客がこぞって住居と定めた理由はどこにあるのか、と疑問だったからだ。
東海道線大磯駅で降りる。とくだん印象に残るものはない、どこにでもある駅だ。
最初に訪れたのは、島崎藤村の旧居。線路にほど近い場所にある。
ボランティアなのか、上品な女性が説明してくれた。建物も庭もほどよく手入れされている。残念ながら、私は藤村の作品を読んだことがないため、あまり実感が沸かなかったが、ファンにとってはたまらないだろう。
近くの古民家カフェで紅茶とデザートをいただき、ひと休みする。閑静な佇まいに身を置くと、心身の髄まで癒やされる。
栄養補給をした後、国道1号線を歩いて明治記念大磯庭園へ向かう。伊藤博文、大隈重信、陸奥宗光、西園寺公望ら、一時代を築いた政治家の旧邸宅が立ち並ぶエリアだ。目の前を西湘バイパスが走り、その向こうに大海原が広がる。
残念ながら現在は修復中で中を見ることはできなかった。山県有朋邸もあったはずだが、係の人に尋ねると、もぐもぐと言葉を濁し、どうやら学校の建設かなにかによって取り壊されてしまったようだ。山県有朋は不人気な政治家だが、こんなところでも仕打ちを受けている。
次に目指すは、旧吉田茂邸である。
正門からして、いかにも重厚だ。敷地も広い。しかし、建物は真新しい。聞けば、十数年前に焼けてしまい、再建されたという。落成式では麻生さんも出席してスピーチをしたようだ。よく知られているように、吉田茂は麻生さんの岳父である。さらにいえば、吉田茂の妻・雪子の父は外交官・牧野伸顕である。あまり知られていないが、牧野伸顕は大久保利通の息子である。
というように、大久保利通―吉田茂―麻生太郎は一本の線でつながっている。
すごいものだ。血脈がその人に大きな仕事をさせるということは、たしかにあるのだろう。
島崎藤村旧居
旧吉田茂邸正門
数寄屋建築の名手・吉田五十八の設計になるサンルーム。耐震上の問題から、中に入ることはできない
旧吉田茂邸から眺め
(221017 第1150回)
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