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紺碧の将

だれがネコに鈴をつけるのか

2022.12.26

 来年度の国の予算が決まった。

 総額114兆3812億円。前年度より6兆4400億円アップしている。国債に頼る予算編成は相変わらずで、なんと歳出の3分の1を借金でまかなうというアンバランスな内容だ。

 私の知る限り、悪化した国の財政に関する論議は20年くらい前から続いている。プライマリーバランスの数値目標をとりあえず掲げるものの、先延ばしばかり続けている。

 私たち日本国民は、ここでもう一度、国の財政運営について考えなければならないのではないか。現状の財政内容では、日本はEUに加盟できないほど悪いのだから。

 どうしてそうなったかといえば、国が「これもやってあげますよ、あれもやってあげますよ」と過剰な行政サービスをしてくれているからだ。もちろん、それを誘引しているのは、国民が「これもやってほしい、あれもやってほしい」と言っているからだ。

 先日、知り合いから聞いた話である。アメリカで出産したとき、100万円以上の請求がきたという(医療保険に入っていれば、後日戻ってくるが)。しかも、出産したその日に退院したという。何日も入院していたらとんでもない請求がくるから。日本ではそんなことはありえない。日本でアメリカのような事態になれば、マスコミも国民も大騒ぎするだろう。

 ただ、私はなんでもかんでも行政サービスを減らし、緊縮財政にすればいいとは思っていない。歴史を鑑みれば、享保の改革など規律が行き過ぎたために悪循環に陥った例はたくさんある。

 要は「度を越した借金」は長くは続かないということ。いつまでも膨らみ続ける風船がこの世に存在しないように、水ぶくれの財政もいずれは破綻する。必ずだれかが落とし前をつけることになる。だれかとは、将来の自分たちか、次の世代である。

 ここでも問われるべきは、バランスを保つということだろう。心理を冷やさない程度に景気のマインドを刺激しつつ、規律も保つ。

 来年から始まるインボイス制度は、当たり前の姿にしようという表れだと受け取っている。預かった消費税を自分の懐に入れたまま、国庫に納入しないなど、まっとうとはいえない。国は財政が厳しくなり、尻に火がついたから決断したのかもしれないが……。

 

 翻って、私が経営する株式会社コンパス・ポイントは、ずっと借り入れがあった。30歳の頃に社屋を建てるために多額の借り入れをしてから、借り換えを続けてきた。

 しかし、ようやく無借金になった。銀行からはしつこく勧誘がくるが、もう借りない。会社も時代も右肩上がりではない。会社は、来年4月で満36歳。熟年期に入っている。守りの経営にシフトする時期だ。

 ここ数年、考えてきたことは、資本に占める負債の比率を下げ、自由度を高めること。そういう意味では、国は自由度をどんどん失っているともいえる。

 では、だれがネコに鈴をつけるのか。

 他人事ではないのだが……。

(221226 第1160回)

 

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