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紺碧の将

主と従の秩序

2023.03.13

 前々回の本コラムで、シベリア抑留者の展示会のことを書いたが、それが開催されていた場所が、東京駅丸の内南口前にある「KITTE」の地階。KITTEとは、東京中央郵便局のビルを全面改築した建物の名前である。

 そのビルの屋上に庭園があり、東京駅を斜め上から俯瞰することができる。そこであらためて思った。主と従がはっきりしているから、雑然とした印象がないと。

 東京駅の駅舎の大規模改修工事が行われ、そのことは以前、本コラムでも書いた。首都の玄関口を整備することは国の品位を保つ(上げる)意味でも、じつに重要である。海外からの賓客は、東京駅から馬車に乗って皇居へと向かう。そのとき、雑然とした光景ばかりだとしたら、どうだろう。

 丸の内側から駅舎を望むと、レンガ造りの駅舎の背景に八重洲側の高層ビル群が見えるが、外観の色は空に溶け込み、違和感がない。もし、「自分だけ目立てばいい」とそれぞれにカラフルな色を用いていたら、そうとう下品な風景になっていたはず。もちろん、各自自主的にそうしていたわけではないだろう。かなり嚴しい景観に関する条例(ないしは法律)があるはずだ。

 風景は、そこに住む人の心の現れといってもいい。ときどき、電柱にマチ金融の張り紙が放ったらかしにされている光景を目にするが、それをなんとも思わなくなったら、かなり美意識が劣化していると言っていい。

 戦後、日本の街づくりは「なんでもあり」で、その結果、雑然とした風景ばかりになってしまった。今こそ秩序(ルール)づくりを進めてもらいたい。

 

KITTE屋上から東京駅駅舎を望む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KITTE屋上から八重洲側を望む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KITTE屋上から丸の内側を望む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KITTE屋上には椿がこんなにたくさん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KITTEの1階ラウンジから天井を見上げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京駅丸の内から駅舎を見る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついでに東京駅丸の内北口の天井。美しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(220313 第1171回)

 

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